2008年2月10日日曜日

人間はなぜ幸福でないのか1 - 人生の目的、目標は幸福

昔ギリシャの哲学者アリストテレスという人は、「人生の目的、目標は幸福にある」と言っている。けれども、今日幸福な人には滅多にお目に掛ることがない。なぜそうなのかということを考えてみる前に、幸福な人とそうでない人について考えてみたいと思う。

人はだれでも「幸福」を求めていると言ってよいだろう。「幸福」と言わずに「幸せ」と呼んだところで、その内容は同じことだ。しかし、「幸運」と言うのはまた別物だ。それは良いめぐり合せのことであって、たまたまそうしたよいめぐり合せに出会ったという偶然性に依存している。しかし、「幸福」というものは、必ずしも偶然性に期待するものではない。

幸福を求める心は、また幸福についての様々な迷信を生み出す。たとえば、幸福の手紙と呼ばれるものや、結婚するのに良い日を選んだりするのがそれである。大安とか友引に結婚するという具合である。さらにアメリカでは日本のハッピまがいのコートを着て、それをハッピー・コートと呼んでいる人がいる。

昔から幸福に関する本は沢山出ている。幸福について語られ、論じられてきた。しかし幸福を得ている人はほとんどいない。

幸福な人というのは、将来について言えば、斜め上の空が突き抜けたような感じを持ち、過去について言えば、ちょうど船が白い航跡を残し、やがてそれが消えていくような感じを持っている人だと言われる。つまり、過去に捕われることなく、将来がずっと先まで突き抜け、希望を持てる状態である人だ。それに反し、幸福でない人というのは、いつまでも過去の出来事に縛られ、それに対する恨みつらみを持ち、だれかを憎み続けている人である。そういう人は、過去にしがみついているから、将来が全く見えないどころか、考えることすらできない。

こういう心理状態を心理学者は教えてくれる。だから、自分が今どのような心理状態であるかということを知れば、自ずと自分が今幸福であるか、それとも不幸であるかが分るというものである。

そういうことが分っていても、なかなか幸福な人のような心理状態になれないとしたら、どこに問題があるのだろうか。どうしたら幸福な人になれるのだろうか。そのことについて考えてみることは、決して無駄なことではあるまい。