2008年4月23日水曜日

健康について 8/8

ある胃潰瘍の患者と会った時、彼がその雇主をものすごく憎んでいることが分った。彼が働いている店の主人は、ひどい男で、労働法に引っかからないようにして彼を苦しめるというのだ。そのため、彼は主人を憎むようになり、その憎しみが心の中に積り積って、彼の体を悪くしたことが分った。医者も彼の胃潰瘍の原因が精神的な抑圧によるものだと言ったそうだ。激しい憎悪がついにこの人の胃に潰瘍を作ってしまったわけである。

彼に会った時、私はこう言った。「あなたの立場に立って考えてみると、本当にお気の毒です。しかし、あなたの解決はただ一つしかありません。それは、仕返しをしようと思わないことです。聖書にはこう教えられています。『主は仰せられる、「仕返しはわたしのもの。わたしが報いをする。」』(ローマ12:19)。あなたの憎しみを神にお任せし、あなたの精神的な負担を軽くされることです。あなたの胃潰瘍の本当の原因は憎しみなんですから、胃潰瘍になった個所を、手術して取り去っても、心因を取り除かなければ、決して根治はできませんよ。あなたの憎しみ、仕返しを神様に任せてしまうことです。」

その人はこう言うのだ。「どうしてそんなことができるんですか。」そこでわたしはその人にこう言った。「その相手の人を憎む代りに、その人のために祈り、その人が祝福されるように神様に願うことです。」彼はそれを聞くと、驚いた様子で私の方を見た。「そんなことができるもんですか。あんな奴のために祝福を祈れって言うんですか。そんなことができるくらいなら、こんなに苦しむもんですか。」彼は吐き出すように、こう私に言った。

私はさらに言った。「それ以外の方法では、決して治りませんよ。この愛の力によって相手を打ち負かすというこの方法こそ、最も正しい医学的な方法なのです。精神医学においては、実はこの方法しかないんですよ。「善によって悪に打ち勝ちなさい」(ローマ12:21)という聖書の御言葉をご存じですか。敵に対して、あなたが善意を持ち始めると、あなたの心から恨みや憎しみが消えて、心には平安が与えられるのです。あなたの心から緊張がなくなると、もう二度と胃潰瘍によって苦しめられることはないでしょう。」

この人は、自分でいろいろ考えたすえ、もう一度私の所へ来て、「どうしても治りたいので、聖書が教えている『自分の敵を愛し、自分を迫害する人のために祈りなさい』(マタイ5:44)を実行したい」と言って来られた。そして、ついに胃潰瘍の苦しみから解放されることができた。